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Jリーグ 7年前

DAZN、英国企業ながらプレミアリーグ放映権を持たない理由。その裏に見えるJリーグ参入の真意

今季から10年間総額2100億円という契約でJリーグの放映権を取得したDAZN。しかし、このサービスを提供するパフォームグループについては、日本ではあまり知られていない。パフォームグループはロンドンに拠点を置く企業だが、DAZNの展開はドイツ、スイス、オーストリア、日本の4ヶ国だけで、イングランド・プレミアリーグの放映権は取得していない。なぜDAZNは英国内で事業を展開せず、パフォームグループもプレミアリーグの放映権を持つことができなかったのだろうか?(取材・文:山中忍【ロンドン】)

text by 山中忍 photo by Editorial Staff , Getty Images

Jリーグの放映権を取得したパフォームグループとは?

ラシュトン
Jリーグの放映権を取得したパフォーム・インベストメント・ジャパンのジェームズ・ラシュトンCEO【写真:編集部】

 DAZN(ダゾーン)? パフォームグループ? 10年間2100億円というJリーグとの放映権契約が発表された昨年7月、聞き慣れないサービス名称と企業名に首を傾げた日本のサッカーファンも多かったに違いない。ここイングランドで、ドイツ、スイス、オーストリアにおけるDAZN展開が「スポーツ版ネットフリックス(※)登場」と報じられたのは昨年8月。世間の反応は今回の日本と同様だった。
(編注:ネットフリックス…映画やドラマなど、オンラインでストリーミング再生できる映像配信サービス)

 パフォームグループはデジタル・スポーツメディア分野の英国系企業。オフィスは、ヒースロー空港から車で10分程度のロンドン南西部郊外にある。傘下のオプタ社(※)は、プレミアリーグの報道にも欠かせないデータの提供元として、サッカー好きな庶民の間でも知られる。しかし、同社を2013年に買収したパフォームグループの存在はあまり知られていない。
(編注:オプタ社…パフォームグループ傘下のデータ提供企業。試合に関する様々なデータをプレミアリーグや大手メディアなどに提供している)

 得体の知れない存在というわけではない。まだ設立から12年ほどだが、千人単位の社員を抱える立派な企業。(共同)創業者のサイモン・デニヤー氏は、『スポーツビジネス』誌上で「2016年スポーツ革新者20傑」の5位にランクインされてもいる。

 Jリーグとの契約規模は日本のスポーツ放映権としては過去最大級だが、金銭的な体力も充分そうだ。3年前にロンドン株式市場での上場が廃止された理由は、億万長者レン・ブラバトニク氏による買収。アメリカ人実業家が持株会社として利用するアクセス・インダストリーは、他にもレコード業界大手のワーナー・ミュージックや、音楽ストリーミング配信の世界最大手であるスポティファイなどを所有しており、DAZNのサービス展開も、その資金力を後ろ盾としている。

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