指導者として先達であるクロップ(左)は、ジェラード(右)に自らの経験を教えていくことを語った。 (C) Getty Images

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 サッカー界きっての熱血漢であるリバプールのユルゲン・クロップ監督は、同業者となったスティーブン・ジェラードに熱きエールを送っている。その言葉を英紙『インデペンデント』をはじめとする複数の現地メディアが伝えた。
 
 リバプールの下部組織出身者でもあるジェラードは、昨年11月に「信じられないぐらいのキャリアを歩めた」という言葉とともに現役引退を表明。その後は英国メディア『スカイ・スポーツ』で解説業を務め、今年1月からはリバプールのアカデミーで指導者キャリアをスタートさせていた。
 
 アカデミーで指導経験を積んだジェラードは、その資質が評価され、来シーズンからリバプールU-18の監督として本格的に指導者キャリアをスタートさせることが決まっている。
 
 ジェラードの指導センスについて、かつてリバプールでアシスタントコーチを務めたフィル・トンプソンは、「スティーブンはうまくいけば、何年間もリバプールで仕事をすることになる。おそらく数年のうちにトップでコーチをするだろうし、その後はトップチームの監督としての仕事をやっているはずだ」と太鼓判を押している。
 
 一方、監督としては“後輩”にあたるジェラードのステップアップについて、現在、トップチームを率いるクロップは、「彼がクラブにいてくれるなんて完璧さ。スティーブンは素晴らしい男で、人格においても史上最高な選手の一人だったね」と、指導者に必要な人間性の高さを評価した。
 
 U-18世代は結果もさることながら、それ以上に人間形成や精神面の育成が重要となるだけに、ドイツ人指揮官からの評価はジェラードにとっても自信に繋がるだろう。また、クロップはジェラードとかわした会話をについて明かしている。
 
「私は、彼に『このクラブを離れるか、もしくはクビになるとき、誰が後任になるかはもちろん気にしていない。けど、君にやってほしい』と話したよ」
 
 現在49歳のクロップは、リバプールとは2022年までの契約を結んでいるが、「60歳ぐらいまでに引退したい。もう様々なクラブを渡り歩くつもりはないんだ」と、かねてより監督生活からの引退時期について口にしており、リバプールを最後に一線から身を引くのではないか? という見方も出てきている。
 
 そんなドイツ人指揮官は、新たな指導者の育成にも熱心なようで、「彼が必要とするなら、いくらでも情報を提供するよ」と、ジェラードにアドバイスをしていくことを明言。さらにクラブにサポート体制の強化を求めている。
 
「クラブの一員になるということは、そのクラブの未来に対して大きな責任を持つということになる。リバプールには、ジェラードのような“レジェンド”が決定権のあるポジションにいることが大事なんだ。彼はリバプールに多くのものをもたらしてくれた。今度はクラブ側がスティーブンに最高の勉強の場を提供する番だ」
 
 熱血漢クロップのメッセージは、間違いなく元リバプール主将の心に響いたはずだ。このアドバイスは、ジェラードが監督キャリアを歩んでいくうえでポイントとなっていくのだろうか? 今後の彼の歩みに注目していきたい。